ブログ更新100回目!
こんにちは。
今回の更新でブログ更新100回目を迎えました。
(「悠々悶々~設計のつぶやき~」でのいう事です)
最初の更新が2013年7月でしたので
もう4年経ったという事ですね。
これからもスノーボードと映画ネタで更新していきますよ!(え~
では映画ネタで行きます。
今回は私の一番好きな映画監督クリストファー・ノーラン最新作「ダンケルク」が公開されたという流れで
「インターステラー」について書こうと思います。
ただこの映画は以前に管理課の阿久津社員が書いたので題材は被りますが
そんな事は知りません!(え~
この映画好きなのでしゃ~ないね!(え~
今回も例に漏れず
ネタバレ満載でお送りします!(え~
映画の紹介というより映画の中での疑問点を紹介する形になりそうです・・・
ではいきます。
「インターステラー」
2014年11月22日 日本公開
監督クリストファー・ノーラン
主演マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ
アン・ハサウェイ可愛い!!
<あらすじ>
近未来の地球。
環境は加速度的に悪化し植物の激減と食糧難で
人類滅亡のカウントダウンが迫っていた。
そこで移住可能な新惑星を求めて
宇宙の彼方に調査隊を送り込む事を決断する。
この過酷なミッションに選ばれたのは元エンジニアであるクーパー(マシュー・マコノヒー)や生物学者のアメリア(アン・ハサウェイ)ら僅かなクルーのみ。
クーパーには15歳の息子トムと幼い娘マーフィーがいる。
このミッションに参加すればもはや再会は不可能だろう。
それでも泣いて止めるマーフィーに
「必ず帰ってくる」と約束し旅立つクーパー。
果たして彼らは新天地を見つけ出し
無事に地球に帰還する事が出来るのか?
主人公がラストに辿り着いた衝撃の結末とは!?
この映画のテーマは「親子愛」を描いています。
そこにSF要素が合わさるのですが
この「SF要素」が半端無く難しかったりします。
今までのSF映画には無い映像美や描写ですが
これがSFファン以外を真っ先に置き去りにする要因です。
正直言って難しい用語がバンバン出てきます。
今回はその分かりにくい用語や事象を説明していきます。
(私は宇宙好きのSF好きなので用語等は分かっているつもりです)
◆ワームホールは存在するのか?
『インターステラー』は「土星の近くに存在しているワームホールを通過して別の銀河系に移動する」というもの。
ワームホールとは別名「アインシュタイン・ローゼンブリッジ」と呼ばれ「ある空間と別の空間を繋ぐ抜け道のような構造をしておりそれをくぐると遠く離れた別の空間に移動出来る」と考えられている。
しかしワームホールは非常に不安定であり生成させてもすぐの消滅してしまうらしい。
そこで理論物理学者キップ・ソーンは「もしも”負の圧力を持った物質”が存在するのならワームホールを維持する事は可能かもしれない」と考え、それを”エキゾチック物質”と名付けた(あくまでも理論上の存在ですが)。
このエキゾチック物質は通常のエネルギーとは逆に
空間を押し広げようとする性質を持っている。
この性質によって不安定なワームホールを補強し
通過可能な状態を維持するというもの。
ただしワームホールもエキゾチック物質も
現在の科学では実現できない。
劇中では
「”5次元の生命体”によってワームホールが作られた」
と説明している。
◆ラザロ計画と”重力”の関係
ラザロ計画とは
「滅びつつある地球に見切りをつけ主人公達が移住可能な
他の惑星を見つけて生き延びる計画」の事であり
「人類宇宙移民計画」なのだが、その内容は2種類あり
”プランA”と”プランB”に分かれている。
プランA
「現在の地球人全てを他の惑星に送る」
プランB
「人類の受精卵のみを移住先で人工培養して種の存続を図る」
主人公は”プランB”では自分の家族を救えないので
”プランA”を必死で遂行しようとする。
ところが彼らが宇宙へ飛び出した後
「実はプランAなど無かった」という衝撃の事実が発覚する。
ラザロ計画の発案者であるブランド教授はプランAの実行に必要な「重力の謎」を解明しようと長年研究に取り組んできたがある時点で「この謎は解明出来ない」という事に気づいた。
その後ブランド教授は老衰で息を引き取る寸前に真相を暴露し教授と一緒に研究を続けていたクーパーの娘マーフィーは驚き絶望する訳だが、そもそも「重力の謎」が解けなければ
プランAは実行出来ないのか?
その理由は「人類の数が多すぎるから」
全人類を宇宙に送り出す為には
当然巨大な宇宙船やスペースコロニーが必要だがそんな巨大な質量を宇宙まで飛ばすことは技術的に難しい。
そこで重力を制御する方法を見つける為に研究を重ねたが結局謎は解明出来ずプランAは断念せざるを得なかった。
一方プランBは従来の技術でも実行可能。
しかし現人類を見殺しにするプランBでは反発は必至。
そこで研究を続けるフリをしながら
「新惑星を見つけるまでには重力の謎を解いておく」と言い
密かにプランBを実行しようと目論んでいた。
◆ミラーの星では何故時間の経ち方が違うのか?
ミラー飛行士が待つ水の惑星だが
ミラーは見つからずしかも大津波に巻き込まれて時間を大幅にロスした後に宇宙船に戻ると23年の時間が経過していた。
この惑星は大質量ブラックホール:ガルガンチュアのまわりを公転しているため重力の影響を受けて1時間を過ごすと
地球では7年が経過していた。
これは一般相対性理論によると
「重力が強い場所ほど時間の進み方が遅くなる」
という事が証明されている。
質量が地球に約33万倍ある太陽の場合、その表面では地球よりも100万分の2秒だけ時間の進み方が遅い。
ガルガンチュアは太陽よりもさらに重力が強いため近づくほど時間の進み方が遅くなり、その表面(事象の地平線)では時間がほぼ止まって見える。
クーパー達はガルガンチュアのすぐ側にある惑星に降りたのでまともに重力の影響を受けて時間の進み方が遅くなった。
ただ本人が「時間が遅く流れている」と自覚している訳ではなく、あくまで「地球側から見たら遅く見える」というだけ。
クーパー側から地球を見たらビデオの早送りのようなスピードで時間が流れているように見えただろう。
これが「時間とは絶対的なものではなく相対的なもの」というアインシュタインの相対性理論である。
※この辺りの知識は雑誌「ニュートン」を読みまくりました。
◆クーパーは何故ブラックホールに落ちた?
マン博士がやらかしたお陰で甚大な被害を被った
エンデュランス号は燃料と酸素の殆どを失った。
これではもはや地球に帰る事は出来ない。
そこでクーパーとアメリアはブラックホールの重力を利用してエドマンズの惑星へ行く為のエネルギーを確保しようとする。
その途中で「後は任せた!」とクーパーが自分の宇宙船と共にブラックホールに落下する。
このシーンで「エンデュランス号の質量を減らす為に犠牲になったのか?」とか「”運動量保存の法則”によりエンデュランス号の進行方向とは逆向きに物体を射出する事で推進力を得たのか?」と思うが少し違う。
最初はブラックホールの重力を利用する事で移動エネルギーを確保しようとしたもののエドマンズの惑星に到着するにはまだエネルギーが不足していた事に気付いたクーパーはアメリアに黙って”ペンローズ過程”を実行した。
「ペンローズ過程」
宇宙物理学者ロジャー・ペンローズが提唱した「自転するブラックホールからエネルギーを取り出すプロセス」の事。
これはゴミを容器に入れ自転するブラックホールの””エルゴ領域”と”事象の地平線”の間に投入しゴミをブラックホールに捨てて容器のみを回収すると質量とエネルギーの等価性により「ゴミの質量+ブラックホールの減少した質量」に相当する加速エネルギーを取り出せるという理論。
しかしいったん入ってしまうと光さえ脱出出来ないはずのブラックホールからどうやってエネルギーを取り出せるのか?
それはブラックホールの「回転エネルギー」を利用したから。
ペンローズ過程で一番効率よくエネルギーを増やすにはブラックホール表面ギリギリで2つの物体の相対速度が光速になるように分裂させる。
そうすると理論上では最初に持っていたエネルギーの約1.3倍のエネルギーを獲得出来る・・・らしい。
ク-パーはこの理論を実行しようと覚悟を決めたがアメリアに止められる事を予想して直前まで言わなかった。
そしてガルガンチュア周辺のエルゴ領域にエンデュランス号が侵入した後クーパーは自らのレインジャーを切り離し事象の地平線に突入する事でエンデュランス号がエドマンズの惑星まで到達する為に必要な加速エネルギーを獲得させた。
◆ブラックホールに落ちて助かるのか?
アメリアを助ける為に
自らブラックホールへ飛び込んだクーパー。
実際ブラックホールがどれほどのものか知る由もないが、このシーンで「とんでもなくヤバい」という事だけは理解出来る。
実際、人間がブラックホールに落ちるとどうなるのか?
現在の物理学では
ブラックホールに落ちた物質は特異点に落ちて消えてしまう。
消える直前に物質は強大な潮汐力により素粒子レベルまでコナゴナに分解される・・・らしい。
ブラックホールの落ちたクーパーも当然コナゴナになるのか・・・と思いきや無事だった。
(何故無事だったのかは次で説明します。)
これはブラックホールの種類に原因があります。
ブラックホールの形態は
「シュヴァルツシルト・ブラックホール」
「カー・ブラックホール」
「ライスナー・ノルドシュトルム・ブラックホール」
「カー・ニューマン・ブラックホール」
の4種類。
このうち回転していないものが
「シュヴァルツシルト・ブラックホール」
回転しているものが
「カー・ブラックホール」
と分類させている。
劇中に登場するガルガンチュアは回転しているので
「カー・ブラックホール」となる。
この2つに落ちた場合、どのような違いが生じるのか?
まず”特異点”の形状が違う。
「特異点」
ブラックホールの中心に存在すると言われる
「大きさがゼロで密度が無限大のポイント」の事。
角運動量を持たない「シュヴァルツシルト・ブラックホール」は”点”として存在するが、劇中では回転する「カー・ブラックホール」なのでリング状になっている。
もしガルガンチュアが回転しない「シュヴァルツシルト・ブラックホール」なら事象の地平線を越えて吸い込まれると
後は真っすぐ中心の特異点に向かって落下するのみ。
そうなればもう助からない。
劇中では回転する「カー・ブラックホール」なので
吸い込まれても真っすぐ特異点に向かわず
ブラックホールの周囲を回るような動きになる。
(これをレンス・ティリング効果という)
やがて特異点に近づくのだが「カー・ブラックホール」は
遠心力でリング状になっているので上手く宇宙船を操作すれば
リングの中央を突破出来る可能性がある。
(あくまで”理論上”ですが)
クーパーは何とかしてリングの真ん中に突入し
奇跡的にリング状特異点を通り抜けた・・・多分。
ーーーーー<ネタバレ>ーーーーー
◆クーパーが辿り着いた空間は?
死を覚悟してガルガンチュアに飛び込んだクーパーが見たものは上下左右に大量の書物が並んだ巨大な図書館みたいな場所。
良く見ると本の隙間から子供の頃のマーフや
自分自身の姿が見える。
この幻想的なビジュアルに「ココどこやねん!?」と混乱する事、必至!
この空間はブラックホールの最深部に存在すると言われる
特異点周辺を映像化したもの。
(厳密には特異点そのものではなく4次元超立法体”サテラクト”の映像化)
この空間は最新の宇宙物理学によって
科学的に検証された描写らしいです。
(とは言ってもブラックホールの中を見た人なんて誰も居ないので
科学的に正しいかなんて証明しようがないんですけどね)
問題は「何故こんな光景があるのか?」なのだが
ファンタジー感丸出しのこのビジュアルはどう見ても
”科学的に正しく検証された”とは信じ難い。
この空間は”サテラクト”と呼ばれる4次元超立方体で
マーフの部屋を通じて「過去」「現在」「未来」
全ての時間と連結しているという設定。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
(このシーンはCGではなく実際にセットを作って撮影している)
※この辺りは監督のCGよりセットを使った撮影方法を好む趣向によるものが大きいですね。
では、この「4次元超立方体」とは何なのか?
「幾何学の租」と呼ばれるユークリッドが記した『原論』では
次元を「立方(3次元)の端は面(2次元)である」
「面(2次元)の端は線(1次元)である」
「線(1次元)の端は点(0次元)である」
と定義している。
フランスの哲学者ルネ・デカルトは次元を
「1点の位置を決める為に必要な数値の個数」と定義した。
「1次元(線)なら距離X」
「2次元ならX・Y」
「3次元ならX・Y・Z」
で1点の位置を決定する事が出来る。
しかしこうした定義では3次元を超える次元を説明出来ないので3次元以上の次元の存在を認められていなかった。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスは
「立法は”完全”であり3次元を超える次元は存在しない」
とまで論じた。
これを打ち破ったのが19世紀の数学者アンリ・ボアンカレ。
彼はユークリッドの定義を逆手にとり以下のように定義した。
・端が0次元になるものを1次元(線)
・端が1次元になるものを2次元(面)
・端が2次元になるものを3次元(立体)
・端が3次元になるものを4次元(超立体)
この定義は低い次元から高い次元へと登る点で
ユークリッドの定義に勝る。
この方法を使えば5次元でも6次元でも定義する事が可能であり幾何学の中で扱う事が出来る。
これは
「ある次元の図形をその次元に含まれない方向へ動かす事で元の次元より1つ高い次元の図形をつくる事が可能」という事。
即ち「立方体を3次元空間に含まれない方向に動かせば
4次元の超立方体が出来る」という事。
これが「テサラクト(テセラクト)」と呼ばれる
4次元超立方体である。
劇中でこのサテライトは”3次元”の人間とは別の時空に存在する”5次元”の人間によって作られた設定になっている。
主人公達が宇宙を移動する際に使用したワームホールを作ったのも”5次元”の人間だとされています。
◆5次元世界とは?
1999年、ハーバード大学で物理法則を研究する論理物理学者リサ・ランドール博士は”5次元世界”の概念を発表した。
それは
「5次元世界は3次元世界の縦・横・高さに4番目の時間、そして5番目の次元方向への距離で表される」というもの。
しかし「もし我々が2次元世界に住む生物だったら3次元世界を想像したり絵に描いたりする事は難しい。それと同じ事」と説明しており3次元以上の世界がどのようになっているかは現代の物理学では解明されていない為、その理解には量子論と一般相対性理論を融合させた「量子重力理論」の完成が必要。
ーーーーー<ネタバレ>ーーーーー
この実際には観測されていない物理学上の仮説を映像化したのがクーパーが見ている奇妙な空間になる。
彼のいる場所は全く異なる次元になり、ここでは時間の流れも一方的ではなく幼い頃のマーフから成長して物理学者になったマーフまで見る事が出来る。
そこでクーパーは特異点で得たデータを腕時計によってマーフに伝えマーフはそのデータを研究する事で”重力の謎”を解き明かし、その後、人類は重力を自在にコントロール出来るようになり巨大なスペースコロニーを作って宇宙に移民したというラストになる。
壮大な宇宙空間を舞台にして最新の科学データを駆使しながら
それでも最後に人類を救うのは”愛の力だ”という結論!
ラストシーンで
アメリアが”エドマンズの星”で佇んでいる描写も同様。
エドマンズの星に行く事を希望するアメリアに対して「君を科学的な根拠が無い」と一蹴したクーパーだが実はその星には酸素があり人類の居住に適していた事が判明する。
「科学よりも”愛”を信じたアメリアの方が正しかった」と。
そんなアメリアを助ける為にたった一人で宇宙へ飛び立つクーパーは”人類を救う”という使命より”自分の娘(家族)を守りたい”という非常に個人的な動機で参加している。
年老いた我が娘と再会出来た時点で彼の願いは達成された筈。
にも関わらず何故再び宇宙を目指したのか?
この映画は近未来を描いているが
スマートフォンを操作している人の姿が全く映らない。
(パソコンは映るが)
その理由は監督が大の”スマホ嫌い”だから。
映画公開前にインタビューでも周囲の状況に目もくれずスマホの小さな画面に集中している若者を見て「かつて科学は宇宙を見上げていたのに今はみんな下を向いてスマホをいじっている」と嘆いていたらしい。
前作『インセプション』では人間の(夢の中という)
内側へと向かう物語を描いた監督。
今作『インターステラー』では宇宙という外へと飛び出そうとする
「スマホばっかり弄らないで、もっと広い世界へ目を向けろよ!」と。
これを表したのがラストのクーパーの姿。
「必ず生きて帰る」という娘との約束を果たしたクーパーには
もう危険な旅に出る理由も必要も無い。
それでも彼は再び宇宙へと飛び出し遥かなる世界を目指す。
宇宙にはもっと面白い場所がある。
誰も見た事がない未知の世界がある。
その心を忘れるな、と。
ーーーーーーーーーーーーーーー
この
”如何にリアルに””如何に娯楽映画に”
を徹しようとする監督の姿勢や趣向が大好きですね。
劇中で何度も引用されるディラン・トマスの詩も印象的。
「穏やかな夜に身を任せるな。老いても怒りを燃やせ。終わりゆく日に怒れ。怒れ。消えゆく光に。」というこの詩は死の抵抗を示す老人の気持ちが描かれており劇中でも「滅びゆく地球と運命を共にする事を良しとせず最後まで運命に抗おうとする姿」を描いている。
本作は『2001年宇宙の旅』を強く意識したと監督も話していたが、『2001年宇宙の旅』を観た人ならクーパーが事象の地平線をくぐり抜けて”巨大書庫”に辿り着きシーンは『2001年宇宙の旅』でボーマンがスターゲイトをくぐり抜けて”白い部屋”に辿り着くシチュエーションと同じ。
しかしそのシーンが意味するものは全く違う。
『2001年宇宙の旅』は”人類より遥かに高度な知的生命体が地球人に働きかけ次のステージへと導く”という話だが
『インターステラー』は”主人公達を助けようとしている者は遥か未来の○○だった”という話。
今作を解りやすく図式したのがコチラ。
観た人から見ると非常に解りやすい。
観てない人から見ると全く解らない。
(当然ですね・・・)
次の映画ネタは当然
ダンケルク!!!
それでは。
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